子供ができない。どのタイミングから不妊治療を考えるべきか?

2019.02.01
子供ができない。どのタイミングから不妊治療を考えるべきか?

どのタイミングから不妊治療を考えるべきか?

不妊症とは、妊娠を希望する生殖年齢にある夫婦が避妊せずに1年間 性行為を試みても妊娠しない場合を言い、専門施設における検査と治療が推奨される症状です。

日本では昔、子どもを産めない女性は「石女(うまずめ)」といわれ、離婚の原因とされ、実家に帰されていた時代が長く続きました。また近年では「卵子の老化」が注目され、未だに不妊の原因は女性側にあると思われがちです。実際のところ、妻側の年齢が30歳後半~40歳代になると自然と妊娠し難くなることは事実です。また、女性の社会進出に伴い晩婚化・晩産化が進んでいる背景もあります。その結果 不妊症が年々増加し、現在4-5組に1組の夫婦が不妊に悩んでいる状況にあることも事実です。しかし実は、不妊の原因の約半数は男性側(精子の問題)にあり、男女半々なのです。

これまで産婦人科領域においては、精力的に「卵子に関する研究(卵子学)」が行われてきたこともあり、有効性の高いホルモン療法(排卵誘発剤)が確立し、女性不妊の原因で高比率を占める卵子形成障害(排卵障害)を始めとする女性側の不妊治療(女性不妊)の成績は飛躍的に向上しました。

一方で、これまで泌尿器科領域においては、「ヒト精子に関する研究(精子学)」を行う医師は極めて少なく、また産婦人科領域においても、最近まで男性側(精子)についてほぼノータッチでした。その結果、精子学は出遅れてしまい、実は、男性側の不妊治療(男性不妊)の成績は低迷している現況にあります。

上述しましたが、男性不妊が不妊原因の約半数を占めますが、その約90%は精子の形態や機能に問題がある精子形成障害(精子異常)なのです。精子異常の中でも、精子数や運動率などの見かけだけでは見極められない隠れた精子機能の異常が潜んでいる場合が多く、その精子異常の背景には遺伝子の問題が関与している場合が多いというのが真実です。そのため、原因が明らかとなる場合はむしろ少なく、今日でも精子異常を根本的に治す薬剤や技術(精子の根治療法)は確立していません。そこで、男性不妊治療には、体外受精や顕微授精に代表される生殖補助医療技術(Assisted Reproductive Technology:ART)が対症療法として用いられていますが、いったん精子に問題が見つかると治療が難航する場合が大半を占め、問題は深刻化するのです。詳しくは精子異常の項目を参照してください。

一般的に精子の問題は、卵子の老化と同様に加齢に伴い悪化するように報道されていますが、上述しましたように、これは正しい理解ではありません。精子は元になる細胞(始原生殖細胞)から その都度 造られますので、産生量は加齢により多少減少しますが、繰り返しになりますが、精子異常の背景には遺伝子異常が関与している場合が多いため、卵子と違って精子は老化や加齢の影響は低いというのが真実です。

ですから、不妊治療において、いくら妻の治療がうまくいっても、夫に問題があれば妊娠率は上がらないのです。男性不妊の治療は難航する場合が多いので、なるべく早く夫側も専門施設を受診して、先ずは精子機能の精密検査だけでも受けることをおすすめします。詳しくは精子機能の精密検査の項目を参照してください。

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